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制作秘話 9

《其の九》

今回はキャラクターの設定方法についてです。
キャラは最低3人が必要ではないか、と時海は考えてます。
主人公とその味方と敵と。
そして、それぞれに対してまた三角ができるように脇役を配置します。
二人ずつ背後につけてやるんですね。
この二人の性格や立場は対照的なものに設定します。
これが基本の構図かなと思っています。
具体的に考えましょう。
ちょっとキャラが多いですが「ハリー・ポッター」を例に挙げてみましょうか。
主人公はトリオです。
これに対して味方になってくれる学校の大人のトリオがいますね。
校長・副校長・森番。
敵もトリオです。
いじめっ子たち・嫌な先生・例のあの人。
チームではないけれど、どれも敵です。
主人公のバックにいるのが、ハリーのおばさん一家とロンの家族という全然反対の2タイプ。
味方には仲間の友人・先輩とゴーストたちという属性の違う2タイプ。
敵にはゲスト的な敵とレギュラーでうるさい管理人・飼い猫という2タイプ。

他にもこういう構造を持った作品は見つかると思います。
そのトリオの中でも性格の役割分担がありますよね。
考えるより行動が先で話をどんどん前に進める熱血タイプと、慎重で仲間を引き留める弱虫優しいタイプと、冷静で知恵が回るクール参謀タイプ。
ハリー・ロン・ハーマイオニーもそうだし、「地獄堂霊界通信」(香月日輪著・ポプラ社)の三悪トリオも典型です。

それから藤子不二雄先生の言葉だったと思うのですが、私が子どもの頃に読んだワンポイントは「主なキャラには得意なものと苦手なもの、大好きなものと大嫌いなものを決めるとよい」でした。
勉強も運動も苦手なのび太はあやとりと射撃が得意です。
ドラえもんはドラ焼きが大好きで鼠が大嫌い。

キャラの構造はのび太が主人公で味方はドラえもんとしずか、敵はジャイアンとスネ夫。のび太のバックには両親、味方にはドラミと出来杉(味方としてのドラえもんの力が強すぎるので、この二人はあまり出てきませんが)、敵のバックにはそれぞれの母親がいますよね。
全体に関わる人物に担任の先生がいます。
映画版で五人が一緒に行動するシーンがあると、とにかく前に出て行ってしまうジャイアン、弱虫なのび太とスネ夫、冷静なドラえもんとしずかに役割が分かれます。

さて、これをふまえて、業多姫で時海はどうキャラを設定していったか、なのですが。
其ノ壱で初めのトリオは鳴、颯音、迅から始まったと書きました。
鳴の味方になる颯音とその二人の敵になる迅という構図です。
鳴に対して香椎と阿王丸を設定してトリオに組み、颯音と迅に対してトリオを組めるように谺です。
さらに鳴に対して三角が出来るようサブの味方に両親と弟、敵に円岡と由科を設定しました。
ここがスタートです。
進行上必要な脇役は書いているうちに自然に登場します。
壱巻の弥四郎、弐巻の松次、四巻の梅乃は書いている途中から生まれました。

弐巻からは設定をし直して、先のあるシリーズになるようにしなくてはなりません。
味方の大人を二人、友人でありライバルでもある同年代を二人、敵を二人設定して、鳴と颯音の一体ペアに配してそれぞれに三角の構図を作ってみました。
話の流れで抜けるキャラを新たに補っては、シリーズを進めてゆこうと。
で、巫女さまと犬射原、妙と多聞、銀と尾白の隠居が生まれました。
実際にはご存じのとおりの裏設定をしたので、もう少し役割がややこしいのですが。
参巻ではいなくなった妙たちの代わりに、晶と早霧という双子とはタイプの違うキャラを補ってみました。
これ以降の展開とキャラについても、分析していただくのも一興かと思います。

主なキャラには得技と苦手なものをということで、鳴は武芸が特技で家事が苦手ですよね。
颯音はこれが両方できて、しかも笛が吹ける。
かっこいいに決まってますよね、特技ばかりで苦手がないからかっこわるい場面をつくれない。
しかし、颯音にも弱点があります。

そう、惚れた弱みってやつです(笑)。

短編集では、シリーズ最強キャラ銀さんの裏での最強っぷり? と意外な弱点が描かれますので、お楽しみに。

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