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制作秘話 81

《其の八十一》

「おもしろさって?」とか「神は細部に宿る」と、関連する話題だと思います。
これも、デビュー当時、担当さんに指摘されて、初めて意識したのですけれど。

「物語の緩急」についてです。


物語は最初から最後まで、全部同じペースで、たんたんとよどみなく、さらさら流れるように書かれている必要は無いんです。

論文なら、ペースを乱されるのはあんまりよろしくないと思うのですが、物語は一気にたたみかけるところと、ちょっと一休みするところが、必要だと思います。

特に、ちょっと休めるところ、は「必要だと知っていないと入らない」ように、私は思います。

おもしろくしよう、しよう、として、緊張感のあるシーンばかりが続く。

そういう印象でいて、本当におもしろい物語には、実はどこかに一言二言の掛け合いでもいいから、肩の力が抜けるところが用意してあるんじゃないでしょうか、マラソンの給水所みたいに。


伏線でもなく、明らかに物語にとってすごく重要ではないのに、なぜかとっても印象に残っている場面、が「おもしろかった」物語にはありませんか?

きれいな景色の描写でもいいし、キャラが食べていたご飯がおいしそうだったことでもいい、それが「休憩ポイント」「肩の力が抜けて、すっと心に入ったシーン」です。

どの程度の割合で入れるとか、決まりはないので自分が物語を書く呼吸、読む呼吸を体の求めに応じて入れたらいいし、ふっと浮かんだ事でいいと思うのです。

わざわざ休憩ポイント作って入れても、案外作者の「がんばって入れてます」が伝わっちゃって、力抜けなかったり。


緊張感のある場面でより緊張感増幅させるのが、その場面ではなく一つ前の気がゆるんだシーンだったりもします。

それに、緊張感のあるシーンはどういうものかが、理屈でもわかりやすいのですが、「休憩ポイント」は作者のセンスと個性と感覚にかなり依存するようですね。


なので、そのセンスを磨くためには、意識して、すでにある物語の「休憩ポイント」を探しながら読んでみる、という方法をおすすめいたします。

漫画だともっとわかりやすいかな、ギャグシーンで二等身キャラになっているところ、あるいは二等身なんか出てこないシリアスな漫画でも、キャラがじゃれあっていたり、星空の下で思い出話していたり、そんなシーンです。
私もそうしています。


物語のおもしろさは「ギャップにある」と以前このコラムで書きましたが、設定からくるギャップだけでなく、文章・シーンの積み重ねかたにも、ギャップがある方が読んだときにどこか引っかかって印象強くなる、ということでしょうか。

……もちろん、休憩やり過ぎは逆効果ですので、ご注意をVv
長いシーンにせず、ワンポイントでさっと切りあげることを、私は心がけてます。

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