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《其の八十》

ひさびさの新作ネタばれ回です、うれしいなv

「半分だけの妖精に、キスを。」略して「半キス」のネタばれをします。
申し訳ございませんが、すべてばればれですので、未読の方はご注意くださいませ。


まずは、あんまりばれてないところで、名前の由来と意味ですね。
今回は、スペイン語の辞書と格闘しました。イタリア語・ドイツ語とどれにしようか迷った末に。
アーダは「妖精」という意味です……。

クレア クレエール(信じる)・アレグリア(喜び)・アクエルド(調和)
実は彼女のキャラそのまんまだったという「名は体を表す」(笑)


セルカもそうです。
セリオ(まじめ)・セルカ(すぐそばにいる)・ルカーノ(カブト虫)
実は彼のファーストネームはセリオでして、「いつもすぐそばにいることを許す」という意味の「セルカ」のミドルネームは何代か前の当主が与え、以来名誉としてそれを名乗っているという設定です。

エルフ耳と昆虫羽という、キャラの中で一番妖精らしい外見ですが、この世界ではわりと珍しいタイプ。理由はネタばれ度が高いため、下の方で説明しますね。

基本的に半妖精は差別されているため、外見どおりの投げやりな名前がつく習慣がある、という設定でした。
貴族以外には名字がなく、名前がダブルでつくだけです。


フローロ・フロラシオンは、花と花のようなというだけの意味で、彼はセルカやファボと違い、親が愛してくれなかったためこんな適当な投げやり名前という設定なのです。

ファボ ファボリート(お気に入り)・エークシト(成功)
ペリート(犬っころ)という名をつけられてしまうところ、親がすてきな名前をつけてくれました。
ファボはこの名前をとても気に入っています。


では、この人は?
エンテ王 バリエンテ(勇敢)・リンセ(山猫)・ゲパルド(豹)
特別にトリプルで名前がつけられる王子(女王家になると、それまでの家名ではなく、デ・エルマーナと名乗れる)といえども、投げやり名前の習慣自体は変わりません。
忌まれてしまったのです。
でもまあ、ただの猫よりは強そうな(苦笑)
……なぜこの名前で民衆にばれなかったんだ正体が…………えーと、きっと、古語なんですよ、難しい(汗汗汗)

……別に私(作者)が投げやりだった訳じゃなく、そういう習慣という設定なのです(爆)


こほん、えー、世界観の説明に移りましょう。

お読みになって、また時海め、あんまり明るいとはいえない設定だな、と思われてしまったかた、ごめんなさい。

全部が明るいよりも、影があるからこそ、明るい部分、きれいな部分、美しい部分がより輝く、といのうが私の信念でして。
今作は担当さまのご理解と応援もあり、思い切って差別とかの負の側面をはっきりと打ち出した設定にしました。


半妖精とアーダとアーダ使いについては、本文で説明しましたので、補足をほんの少しだけ。
この女王国は完全な女性上位、女尊男卑社会です。

ラノベとかでよく、男社会っぽいけれど、一部の特殊な役割だけ乙女の力でないとできず、それがヒロインの役目となり、男子に囲まれて逆ハー状態、というのがあります。
そこを推し進め、本当に女性だけが特殊な力を持って何千年かしたら、女性上位社会になるのがあり得るんじゃないか、と思いました。


妖精は人間の目から見られるとしたら、グロテスクという設定です。妖精というよりか、妖怪。

ただし、食物連鎖みたいなランクがありまして、一番下が、昆虫系です。
羽蟻とか蚊をイメージしてください。サイズもその程度、指先でつぶせます。うじゃうじゃいます。

空が飛べますが、力が弱いため、何かよっぽどのことがない限り、人間の体にとりつくことはできません。
セルカはこの昆虫系です。よっぽどのことのため、かえってセルカはアーダとしても、各方面においてかなり優れています。


その上が、食虫植物系です。美しい花の色と香りでおびきよせた昆虫系妖精を、えさにしています。
ただの植物は妖精ではありませんが、これは妖精なのです。ロロはこの植物系。
やはり力があまり強くないため、人間にはたまにしかとりつきません。

一番上、種類がいろいろあるけれど数が多くないのが、大地の力を得て、永遠に生きる動物系というか獣系です。昆虫系や植物系の妖精をえさにしています。


妖精に本来雌雄はないのですが、単体生殖の昆虫系、2体いれば同性生殖が可能な植物系と違い、獣系は雄タイプがいないと生殖できません。
雄になるためには、人間の男の子の体を喰う必要があります。

ハーレム目指して、妖精内の争いで勝ち抜いたものが、満月の晩に生まれた人間の男の赤ちゃんを狙い、取りつくのです。

なので、妊婦や助産の人たちも、まじないとかいろいろ対抗措置をとるのですが……何パーセントかは失敗してしまい、結果として半妖精が出てしまうのです。


この世界は、人間の目に見えないところで、妖精が自然の摂理をすべて握っている、という設定です。
セルカが「罰」と言っていますよね、初代の女王たちに妖精王が与えたのは。
けっして救ったわけではない……ということなのですが、詳しくは申しません。本文に意味を込めたつもりです。

ちなみに昆虫系以外は、空が飛べずに大地の力を得て生きているので、本質的に高所恐怖症なんです、人間よりも。



発想について。

基本的にこのストーリーのネタは、民話の研究でいうところの、「純潔処女パワー」系です。
ええとね、「美女と野獣」パターン、蛙の姿の王子様に乙女がキスしたら魔法が解けて人間に戻れるっていうあれです、先年映画にもなっていましたっけ。

魔法ではなく、妖精にしたのは、チェンジリングという、イギリスの伝説「妖精の取り替え子」の設定をつかってみたいなと思っていたこと。
それと、アイリスの前担当さまから「獣耳尻尾男子の集団を率いるヒロインの逆ハー」を書いてみて、という宿題をいただいていたからです。

乙女の純真さからくる愛情だけが、王子にかけられた呪いをとくのですね。

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