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《其の七十八》

伏線のお話をしてみようかなと思います。

まず、伏線とは何か、ですよね。

以前プロットについてこのコラムで説明したとき、「実は○○だったのだ」と「実は」がいっぱい出てくるのが「プロット」で読者さんには原則お見せしないもの、出てこなくて読者さんに読んでいただくのが「あらすじ」「内容紹介」と書きました。

その「実は」の部分について、ちょこっとずつ、読者さんにばらしてゆくのが「伏線」です。

いきなり「実は」を全部ぶちまけても、読者さんはあまりの意外性にびっくりしすぎて、話についてこられなくなるかもしれません。
心の準備をしてもらうと同時に、「え? なんかヘンなことやってる? なにそれ? どうなっちゃうの?」と興味を先へ引っ張るのが、伏線の役割です。


伏線を書くことは「張る」と言ったりもします。

どこに伏線を張るか。
それはどこでもいい(あまりにも直前ではだめですけれど)のですが、不自然にならないというか、唐突すぎて浮いたらヘンすぎるので、さりげなく。
でも、印象に残らないほどさりげなさ過ぎると、読者さんに憶えていてもらえないので、違和感ゼロではないように。

私はできるだけ、同じ伏線を2回、くりかえすようにしています。
最初の伏線と「実は」までの中間くらいで同じ「伏線の記憶」を主人公に思い出させることで、読者さんに気がついてもらえるよう。
一気に読むわけじゃなく毎日少しずつ読む方でも、主人公と一緒に伏線を思い出せるよう。


いつ張るか。
書きだす前から「実は」を決めてあれば、書きながら狙って入れられるのですが、書いている内に「こうしたらおもしろいかも」とか「キャラがいきなりおもしろいこと言いだしちゃった」とか出てきてしまいます。
そういうときは原稿をさかのぼって、「ここら辺に入れておけばいいかな」と後から書き足しても、いっこうにかまいません。

また、伏線のつもりじゃなかったのに、後になって「あの発言は使えるな」と気がついたとき、それは伏線に変化します。


どうやって張るか。
たくさんはいらないのです。
大きな「実は」があって、それにたいして二つか三つの伏線を入れるだけ。

入れすぎると「実は」が途中でばればれになっちゃったりしますし。
なんの役にも立たなかった「伏線」が放置されてしまい、「あれって気を持たせといて、なんの意味があったの」と、読者さんをがっかりさせてしまいかねません。

物語に小さな「実は」があり、それに対して一つ張っては途中で小さな「実は」を見せてしまう、それを二つ三つやった上で、全体として大きな「実は」を出して驚かせる、という方法が私の考えるベストですね。

小さな「実は」が大きな「実は」の伏線でもいいし、逆にミスリード(読者さんに誤解させる、一度別方向へ考えがいってしまうので「実は」のびっくり度がより大きくなる)でもいいですし。


伏線がうまく張れるようになると、小説としてのおもしろさが、ぐん、と上がると思って、精進しております。

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