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制作秘話 55

《其の五十五》

今回はタイトルとキャラなどの名前つけのお話です。

タイトルにはメインタイトル(シリーズタイトル)・サブタイトル(巻タイトル)・章タイトルがあります。


メインタイトルとサブタイトルは本の表紙=カバーや背表紙に書かれて、オンライン書店のリストにUPされます。

これが「おっ」と目を惹くものでないと。
営業戦略の一つなので、うーんと考えます。担当さんもいっしょに考えてくれたりします。なかなか決まらないときは。


よく新人賞の講評で審査員の先生が、「タイトルはもう一考」とコメントされたり、出版の時にタイトルが変わっていたりしますよね。

私もデビュー作「業多姫」はタイトル変えるかどうかいったん検討されました。
結局変えずに行ったんですが、読みにくいとか怖いとか言われた記憶が。

けっきょく時海のメインタイトルは造語が多く、反省して今後はなるべくぱっと見てわかるものにしていこうと考えてるんですが。
あと、シンプルなタイトルが好みです。タイトルの文字がカバーイラストを隠さないから。本当ですよ。


サブタイトルがどうして必要かというと、書店の棚の前で「この巻、買ったっけ? サブタイトルに見憶えないから買ってないよな」と買わせるためのものです、たぶん。
少なくとも私はそう思ってます(笑) 
いや、コミックスの新刊が買ってあるのかないのか、背表紙の番号だけでは思い出せないことがよくあって。

特に少女向けライトノベルには巻番号をつける習慣がありませんから(少年向けライトノベルや児童書シリーズも以前はそうでした)、サブタイトルが大切になります。

できたら文字数が揃っていて、統一感があるほうが、憶えやすくて別の巻との区別もつけやすいと、個人的にはそうルール決めてます。
背表紙の余白のサイズが揃っているのは、本棚に並べたとき美しいですしね。


章タイトルは目次に並んでいます。本を開かないとわかりません。
時海個人は、目次も余白が揃ってて綺麗なのが好きなので、章タイトルはきっちり統一感を出して凝ります。
特にラノベでは。
児童書はそうでもない(一冊当たりの章の多さもある)けれど、それなりのこだわりはありますよ。



次にネーミングについて。

キャラの名前とか、住んでいる街の地名や学校名などの固有名詞、ファンタジーなら術の名前を叫ぶ、なんてときもありますね。
どの作家さんもネーミングにはこだわりとかこつをお持ちではないでしょうか。

まず、カタカナなのか、日本語なのか、でずいぶん違います。

日本語で現代ものなら、読者さんにも実在するかもしれない名前になります。
なので悪役につけるときは、気をつけないとならないと思っています。せめてフルネームでは実在しにくそうな名前を考えます。

全体に普通にある苗字だと、悪役だけあり得ない苗字にすれば、浮いちゃいますからね。犯人だったらもろばれ。
なのでバランス取りつつ、主人公は変わった名前にしておくとかして、気をつけてつけます。

普通にありそうな名前、私は「赤ちゃんの命名事典」を数冊、図書館で不要になった古い本をタダでもらってきて、使っています。
十数年前のなので、ちょうど高校生のキャラにつけるのによいかんじです。

世の中で「赤ちゃんの命名事典」が必要なのは、妊婦さんとその旦那さんのみならず、小説家や漫画家やシナリオライターのようなキャラ創作者だと思います(笑)

しかしそれでは普通の名前しかつけられないので、珍名とか凝った名前をつけたいときは、思いついたときにメモしておくとか、ネットにある珍名字を集めたサイトを参考にのぞいています。

また、年配の大人のキャラは、パズル雑誌のプレゼント当選者の一覧を参考にしています。毎月パズル連載の見本誌が届きますので。


異世界ファンタジーなどカタカナの場合。
実在する名前がいいなら、ネット上には「欧米の国別よくある名前」みたいなサイトがあり、それをのぞいてつける方法があります。

私は名前として実在しないほうが好きなので、語感の統一感を出すため言語を三つくらい(英語以外)に絞り、範囲をある程度決めて(いい意味の抽象的な単語例えば「勇気」「希望」「情熱」というふうなジャンルで決めるとか)で辞書引きまくってます。
あるいは植物図鑑の学名(ラテン語)を片っ端から読んで、アレンジしてみたりします。

カタカナで大切なのは、字面や音感がかぶらないことですね。なのでキャラ数の5倍くらい候補を用意します。地名もそれに準じてつけます。
声に出して読みにくい名前にはできるだけしないようにしてます。まず自分が電話打ち合わせのとき噛みますので(笑)

5文字以内で、それより長くしたいときは愛称をつけます。限られたページ数で書くので、文字数が多いとそれだけ場所を取っちゃいますから。


かぶらないのは日本名にも必要で、一つの作品内でかぶらなくても、他の作品とかぶりがちなんですよね、どうしても好みがあって。
女子だとラ行マ行カ行の文字にかたよりがち。男子はサ行ハ行ヤ行タ行。

それから、できるだけ字面に埋もれない漢字を選ぶことにしています。「一」なんてのは埋もれがちですよね。「一番」「一度」ってあたりに。

画数が多い漢字を組み合わせないのも大切です。難しそうに見えちゃうので。名字・下の名前、それぞれ二文字のうち一文字は小学校三年生までに習う字をなるべく選びます。画数も少なくて済むし。
とはいえ、現代ものの名前への努力の成果は、これから出る作品たちで発揮されるわけですが。

地名・学校名・団体名は前回も書きましたが、つけたら、実在しないことを必ず検索して確かめます。


日本の時代ものもルールはほぼ同じですが、古代でキャラが字を知らない場合はカタカナ表記にしてますし。
雰囲気重視で古語辞典や歳時記(俳句に使う季節感のある言葉を集めた事典)をながめて決めたりします。


名前は本文で最も多く読者さんの目に触れるものですから、大事につけないと、と思ってます。
一冊で同じ名前は500回とか登場するんですよ。1ページに2回としても。

カバー裏のあらすじで、名前がステキだから読みたいと思うかたもいらっしゃるかもしれませんしね。
少女マンガのキャラの名前って凝っていてステキなの多いですよね。あれに負けてはならないと思うんです。

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