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制作秘話 53

《其の五十三》

久々の書き下ろしライトノベル「メガネ恋。」
時海初の公表された異世界ファンタジーです。いや、それ以外の原稿がどうなったかは聞かないでください……(汗)

異世界といえば、世界設定がどうなっているか、がけっこう肝。
この世界は近代欧風、つまり百から百五十年前の、産業革命以降第一次世界大戦前くらいのヨーロッパを基本モデルにしました。
以下ネタばれを含みますので、ご注意くださいませ。


まず社会構成は絶対王政末期ですね。共和制の国もある世界で、この国はまだ安定した王国です。
しかし明確な貴族層もイギリスのジェントリのような成り上がり商業富裕層もそんなにいばってはいないです。一院制の議会があり、内閣もあるようです。

身分制度は一応あるけれどゆるゆるで、庶民も平和に暮らしている、基本は農業等一次産業国。工業が輸出盛んというわけではない、その理由は、他国では使えない独特の機械構造=「眼力」が動力源ということにあります。

文明の程度も私たちの世界の近代並みですが、けっこうフリーにしてみました。金融税制経済がすべてバーチャルで動いてたり。
自動車はできたばかりで、飛行機はまだありません。写真と映画は開発中で、「眼力」による電信はありますが、「眼力」があるため電気や石油エネルギーは不要、といったかんじです。

この「眼力」という魔法エネルギーはリュネット王国にしかないため、千年以上も他国に対して圧倒的に有利・便利でしたが、対抗するための「科学」による技術革新が他国で急速に発展中です。
このことが王国の近い将来に不安をもたらすかもしれません。「眼力」には守護神との制約によって制限がかけられているからです。

「眼力」にどんな制限があるかは、物語の中でもいくつか触れていますが、一番の制限は媒介が必要、つまりメガネをかけてそれに触って呪文を唱える、ということだと思います。
魔法や超能力というものには縛りを設けないと、バトルのインフレが起きてしまいかねませんからねえ。


宗教はメガネ守護神の一神教と見せて、その分身というかたくさんの人格およびその眷属や御遣いである精霊が地方ごとに信仰される多神教です。

言語は日本語……じゃなくて(笑)、古語と呪文は訳文にラテン語のルビ、最新技術用語は読者さんにも理解できる英語を漢字にルビ、人名以外の固有名詞はフランス語、人名はあとがきの通りハーブの名前を英語メインでいろいろな言語、といったかんじでよせあつめ、カタカナ表記です。

ちなみにディルとイノンドは同じものです。
師匠(イノンド)が自分と同じ名を持つ花をおいたが、師匠の名がその花の地方名だとしらないアニスが勝手にディルに付けてしまった、という設定です。
ピミエンタは唐辛子を意味するスペイン語ですね、たしか。

カッシアの本名のミドルネーム「アルテミシア」はヨモギの仲間、という意味の学名からきてますが、日本のヨモギは「第一位」「王子」と言った単語の語源「プリンケプス」を学名に含むので、選びました。


気候は地中海沿岸のイメージなので温暖な海洋性気候です。冷雨・暖気・熱射・陽光・涼風の五つの季節が巡り、時間の経過や一日・一年の長さは我々の感覚とあまり変わらないようです。月も一つだけで満ち欠けします。
リュネットが「ふたつの月」という意味なのは(本当にフランス語で「メガネ」のことなんですけど)、その月がふたつあるほど偉大という表現です。

まあとにかくリュネット王国は、豊かで平和でメガネ守護神への信仰が厚く、けっこうめっちゃかなりのんきな国だと思ってくださいませ。

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