風の鳴る音
既刊情報
制作秘話93
かぐや姫の罪と罰
制作秘話92
竹取物語ネタばれ
制作秘話91
一番大事なこと
制作秘話90
小説家へのルート
制作秘話89
読みやすい小説を書くには
制作秘話88
平氏は本当に滅びたのか(ネタバレ)
制作秘話87
平家物語の名前
制作秘話86
「細かい」仕事
制作秘話85
意外な上達のコツ?
制作秘話84
物語創作最大の難関
過去の制作秘話一覧
中高生むけの作品

既刊の案内と情報はこちら

 

制作秘話 50

《其の五十》

放置になっていたので、久々の更新です。次回更新は1巻発売日頃になります。
今回と次回は、「遙かなる時空(とき)の中で」シリーズと、その中でノベライズさせていただいた「4」について、書きたいと思います。

とはいえ、私も完全にできあがった世界へ、桜の咲く春に突然龍神ならぬ編集担当様によって召喚された身、自分で「世界をこう受け止めた」ということをお伝えするのが精一杯なのですが。


第一回めの今回は、「遙か」世界の基礎知識です。
まず「遙かなる時空の中で」は、コーエー・ネオロマンスゲームという女性向け恋愛シミュレーション&アドベンチャーゲームのシリーズです。

2000年に始まったシリーズで、無印(=1、と便宜上ここでは呼ぶ)・2・3・4が世界として存在します。
キャラクターデザインは水野十子先生、白泉社コミックスから無印=1のコミックスが15巻まで出ております。


基本設定は、主人公の少女は「龍神の神子(みこ)」と呼ばれ、彼女を守護する八人の男性「八葉(はちよう)」とともに、怨霊(いわゆるゲームのバトル対象モンスター)を鎮め、封印しながら、恋と冒険をする、です。

八葉の多くは恋愛をためらう理由となるトラウマ・葛藤・秘密を抱えていて、それを受け入れることで、恋愛が進行します。マルチエンディングなので、お好みの男子と恋愛が出来ます、ゲームでは。

無印=1・2の舞台は京という、私たちの知る平安時代の京の都によく似たパラレルワールド的な異世界、3は同じ世界の源平争乱期(私たちの知る歴史では1184年にあたります。この世界でもやはり源氏と平氏が戦をしてますが、ちょっとだけ違う歴史が繰り広げられてます)です。

そして4はそれらのエピソードゼロ(スターウォーズ風に言えば)にあたる、古代異世界です。

「遙か」シリーズの主人公は現代日本の女子高校生で、その世界へ龍神によって時空を越えて召喚されます。なので「龍神の神子」として、特別な力を持ちます。


世界を表す用語ですね。
白泉社コミックス水野十子先生の「遙かなる時空の中で」をお読みのかたは、お解りの部分かと思いますが(と言いますか、この私の説明ではきっと不十分ですので、そちらをお勧めいたします)。

この世界の用語は、風水・陰陽道的な「太極・四神・五行」の世界観で成り立っています。

また、八葉は蓮華座(仏像が乗っかってる花みたいな形のあれ)にかかわる仏教用語ですし、あれこれが古代の「4」には出てこない言葉ですが、世界観は共通なので、説明しますね。

まず太極=二極。陰と陽です。黒龍と白龍、という対の龍神として、顕れます。

三才。天・人・地です。大河ドラマじゃないですが、現在では一般に「天地人」と呼ばれてますよね。
東西南北の方角に対して、上下、三次元方向の理(ことわり)=考え方、です。

四神。南の朱雀(火属性)、西の白虎(金属性)、東の青龍(木属性)、北の玄武(水属性)、方角を守護する神獣です。
これ以外に五行の属性に対応して、中央の土属性である神獣がいるという説があり、ひとつは黄龍、もうひとつの説が麒麟です。

時海の「コウヤの伝説」も風水四神の世界観ですが、中央は黄龍=金竜です。「遙か」ではそれが、麒麟となっています。

五行。火・水・木・金(ごん)・土の五つのエレメンツ。「遙か」キャラはこの内のどれかの属性を持っています。
属性同士、相剋といって相手を害する関係と、相生といって相手を育て保護する関係があり、組み合わせが決まっています。
あと、相手が自分と同じ属性の時は比和と呼びます。ゲームではバトルの時、この五行属性が攻撃力の優劣において重要です。

八卦。易経という古代中国の占い学で、八つの性格や傾向を表す言葉。
八葉の性格に当てはめられています。八卦は自然では何をイメージするかも決まっています。
八葉は四神それぞれの加護と天または地の理を得て、力を持ちます。

天の青龍=巽(そん) 風をイメージ 入の性格 穏やかで人になじんだり従う
地の青龍=震 雷をイメージ 動の性格 俺様というか一匹狼で行動派
天の朱雀=離 火をイメージ 麗の性格 華やかで元気
地の朱雀=坤(こん) 地(平地)をイメージ 順の性格 周りを受け入れるやさしさ
天の白虎=乾(けん) 天をイメージ 健の性格 頑固でまじめな一本気
地の白虎=兌(だ)沢(貯まる水)をイメージ 悦の性格 人を喜ばせて楽しむ
天の玄武=かん(土へんに欠) 水(流水)をイメージ 陥の性格 ちょっと弱気でへたれかも
地の玄武=艮(ごん) 山をイメージ 止の性格、クールな慎重派で厳しい

無印=1の八葉は、割とこの性格がストレートですかね。
シリーズに従い、キャラが変わるため、バリエーションが出てきます。


「4」は古代が舞台のため、平安時代的なこういった用語はほとんど出てきません。
八葉はたんに「八人の仲間」みたいな呼ばれかたしてます。
天地の四神の呼称もありません。加護を受けて四神召喚のできるキャラの組み合わせは決まってますが。

また、八葉のシンボル「宝玉(ぎょく)」が体に顕れてもいません。「宝玉」ができるまでの物語なのです。
怨霊ではなく、荒魂(あらみたま)を鎮めます。呪(しゅ)も仏教系ではありませんね。

それでもたしかに黒龍と白龍のいる「遙か」世界なのです。
遠い昔の初代の龍神の神子について語られる部分もあります。
そこらへんはゲームをプレイして感じて、確かめていただけたらと願います。

(C)2005-2017 Yui Tokiumi all rights reserved