風の鳴る音
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制作秘話 26

《其の二十六》

「富士見ヤングミステリー大賞」の応募締め切りは例年大晦日です。なんでそんな郵便局が一年でいちばん忙しい時期に締め切りなのかという疑問はともかく。
ここをご覧の方で、もしかしたら応募される方もおいでかもしれません。応募要項には、こんな一文があります。

◆原稿の初めに、2000字程度の概要・あらすじを添付し、主人公の年齢設定を書いて下さい。その末尾に郵便番号、住所、氏名、ペンネーム、年齢、略歴、他の小説賞への応募歴、電話番号を明記して下さい。

原稿本体以外の部分ですよね。どうすればいいのでしょう、という質問をよく作家志望者の方が集うBBSで見かけます。
この疑問に、師走トオル先生がご自分のサイトでお答えになっておられます。必見ですので、リンクからぜひどうぞ。
師走先生に触発され、時海も「この部分」を公開しようと決意いたしました。けっして制作秘話のネタが尽きたとかそういうわけではないというかなんていうか……ってひどい日本語だな(^^;;)

なお、時海も編集に参加しました「日本児童文学者協会公式サイト・『童話公募のマナーとルール』コンテンツ」もご参照下さると幸いです。童話や児童文学向けですが、基本的なルールはどの小説応募でも共通です。
実際に応募作品の下読みをしたり、添削アドバイスをしている現役の児童書作家の先生方や、公募入賞経験多数のベテランからのアドバイスです。リンクからどうぞ。
 
すこし、応募当時……2001年の年末の状況をご説明いたします。
師走先生と私が応募した時点では、まだ1回目の受賞者である深見先生のご本は発売されていませんでした。そのとき発売されていたドラゴンマガジンで、概要が発表されていただけだったと記憶しています。
そして、当時の富士ミスは「LOVE!」が方針ではなかったのです(笑)。だから私の梗概もミステリーのトリックなどに行をさいております。私の梗概は担当K美さまによると「可もなく不可もなく」というものです。

なお、当時最終候補作が発表されたとき、順番としては私がいちばん初めでしたが、これは純粋に編集部で受付した順です。私は締め切りの5日前に送りました。郵便局の窓口業務が仕事納めになる前、ということです。届いたことが確認できるよう、お届け通知が戻ってくるゆうパックを使いました。

応募当時に添付した「あらすじ」の公開にあたり、「業多姫 壱之帖――風待月」のストーリーの全てが文中で触れられておりますので、未読の方はご留意とご容赦を賜りますよう、おねがい申しあげます。なお、曲がりなりにも気分はミステリーですから、未読を考慮して、犯人とか証拠とか動機とかトリックは伏せ字にさせていただきました。
「あらすじ」の本文は1900字、20字X95行です。この前にタイトル「業多姫あらすじ」、最後に主人公の年齢設定「鳴・かぞえ年十六歳 颯音数え年十七歳」の2行がつきます。

表紙には紙を一枚使い、真ん中に大きな四倍文字で「業多姫」、そのあとに「時海結以」、「四百字詰め換算・三百九十八枚 二十字X二十行で印字」としました。(改稿・加筆してますので、実際の本は文章が四百枚を少し超えてます)
タイトルとペンネームにはルビをふりました。なお、応募時のタイトルは「業多姫」だけです。ペンネームに変更はありません。

表紙の後ろにあらすじを添付ですね。それからあらすじの後に別紙で「住所氏名云々」を指定通りに記しました。学歴は最終のもの、職歴は当時のもの、このふたつを「略歴」と項目立てて書きました。応募歴はたくさん書く必要はないと思いまして、長編児童文学の賞の最終選考クラスに残ったこと(連絡があったので結果が判った)を二つ書いただけです。ただ応募して落ちたふたつみっつ(途中経過発表のない賞ばかりでしたので、どの時点で落ちたか不明)とか応募中のもの、童話やエッセイで賞をもらっていたことは省きました。
これで問題はなかったみたいです。編集部から私は文句言われてませんから、いいんでしょうたぶん(笑) あと、応募要項にはないですが、メールアドレスを書いておくほうがいいですよ。電話がなかなか通じなかったときに、T編集長が助かります。

それでは、以下が、応募した「あらすじ」です。
読み返して、顔から火を噴きそうでした。穴がなくても掘って入りたいくらいへたくそな文です。お覚悟を……(滝汗)



 五百年の昔、室町時代中期。
如月末日、山国の小国美駒の郷。領主の妻が矢倉の最上階で血だまりの縁に倒れていた。発見したのは娘の鳴姫だった。鳴の母が倒れている部屋へ入る両開きの扉がわずかしか開かず、家臣の由科智佐が郎党たちと扉を引き倒す。ところがそうしている間になぜか倒れていた母が消え、血だけが残っていた。しかも人が出入りできる大きさの窓はなく、非常口は閉じられ、出入り口は警護されているという「密室状態」だった。
 さらに翌々日、消えた母は領内の森で、傷ひとつない毒殺体で発見される。密室から「斬殺」死体が消え、もう一度「毒殺」されて発見されるという謎に、領主も家臣たちも、彼女は「化け物」に殺されたと思う。だが鳴だけは 人間の仕業と信じ、謎の解明と下手人を暴き仇を討つことを心に誓う。
 ふた月後、某国の「狐」と呼ばれる密命遂行集団の一員――颯音が美駒へ潜入する。颯音は、「美駒の業多姫」と呼ばれて超人的な武術を使うとされる領主の娘の正体と、美駒の隠し金山のありかを探る密命を帯びていた。「千里眼」という超感覚を持つ颯音は、その能力を使って「業多姫」すなわち鳴と出逢い、刺客に襲われている彼女を援護する。鳴は颯音を父が雇った「陰の護衛役」と思いこんでしまう。母の死の直後から、鳴は外出するたび、刺客にしつこく狙われていたのだ。それでも鳴は息詰まる館に居るのが大嫌いだった。
 鳴が「業多姫」と呼ばれて家臣たちから疎まれ、怖れられているのには理由があった。彼女は生まれつき、自分を少しでも嫌うところがある人間から触れられそうになると、「気」で弾き飛ばしてしまう異能者だったのだ。異能という「業」を負う鳴を完全に受け容れ、心から愛する人間しか彼女に触れることはできない。それは乳母と弟と殺された母だけであった。ところが、颯音は初対面から鳴に触れることができたのだ。どちらも異能者故に片親に拒絶されたという過去を持つ。互いへの共感から心を通わせはじめる鳴と颯音。許されるはずのない恋慕。
 鳴は武術の修行で自らを鍛えて異能を抑え、颯音は「狐」として「印字打ち」という自己防衛の術を身につけていた。二人は刺客と激しく戦う。戦い続けながら、刺客の黒幕を追求し、*や血まみれの**など、母の死に関係した物的証拠を発見する。母が鳴へ渡そうとした**が****ことも知る。しかし颯音は、敵国である美駒に有利な行動はできない。一度は捨てた「人の心」を自分に取り戻させてくれた鳴と、颯音は引き裂かれる思いで別れる。
 鳴は由科から颯音の正体を知らされ、愕然とする。颯音を忘れるため、母の死の謎解きに打ちこむ鳴。閂をかけた上から封印した非常口を開く謎。*******に現場の**から行方不明になっていた****が******いたこと。現場で拾った*****、現場で見かけた****、母が使っていた************いること。
 一方、金鉱山を調査していた颯音は、たびたび見かけて怪しい人物だと思っていた男に逢い、彼が敵でなかったと知る。男は周辺国の武力抗争に巻き込まれたくない自治村が自衛するため、超能力のある異能者を探して旅していたのだ。男は颯音を「鳴とともに自治村へ来ないか」と誘う。迷う颯音。そんな颯音に「業多姫を暗殺せよ」との密命が下り、彼は思わず伝えに来た朋輩を斬ってしまう。仲間に追われる身になってしまった颯音だが、逃げず、鳴を救けに向かう。
 颯音と再会し、彼に対する大切な気持ちを自覚する鳴。しかし時既に遅かった。颯音と鳴を抹殺しようと追ってきた「狐」の仲間迅と、鳴を狙い続けてきた***の率いる刺客集団とに挟まれてしまい、二人はばらばらになる。さらに***の**によって鳴は父や家臣たちからも誤解され、死罪を宣告されて、館へ戻れなくなる。そのうえ迅の罠にかかり、鳴と颯音は直接対決する羽目になる。
ようやく危機を脱して迅を倒した二人は、互いの持つ情報と証拠を合わせて、母の死の真相を解読する。***の**を知った母が******になり、********、**へ*****したのだ。しかし******の**が***、**に****母を殺した。********母が***「***********」*****が、謎として現場に残ってしまったのだ。**した**は****、鳴と颯音は誘われていた新天地を目指す。

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