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制作秘話 22

《其の二十二》

ファンレターでよくある質問、「イラストレータさんはどうやって決まるのですか?」
作者の希望条件と、原稿の内容から受ける印象に基づき、担当編集者の方が、店頭で見つけたイラストや希望する方から持ちこまれたファイル、インターネットで捜して選び、決めます。イラスト選定は担当さまの重要なお仕事のひとつです。

参考になるかどうか、時海のデビュー当時の様子や増田恵先生との出逢いについて、思い出話を語りたいと思います。
デビュー1周年の頃、旧サイトの近況報告に書いたものを一部再掲載しています。こちら新サイトへは移植していませんでしたので。

あれは3年前(もうそんなになりますか)の秋の夕方でした。
T編集長さまからの受賞連絡の電話で、「私で本当にいいんですかっ!?」と第一声をあげたのが、昨日のことのような気がします。
何回もお礼を言って、ぼーっとなって電話を切ったものの、ふいにとてつもなく心配になってきました。
「もしかして、私、あんまり作家を夢見る余り、とうとう妄想でおかしくなっちゃったんじゃないか。今のは全部私の妄想の産物では」
それから二日も、今後の予定と連絡先を書きとったメモを眺めながら、一人孤独に悶々としてしまいました(笑)。
このメモは、いまだに私の仕事部屋の目立つ場所に貼ってあります。初心を忘れないために。

三日目、心臓ばくばく状態で発売日のドラゴンマガジンを買いに書店へ。
途中で心臓発作で倒れるんじゃないかと思いましたね。
悩んでろくに眠ってないし。

震える手でページをめくり、そこでようやく、自分の筆名と作品名を記事の候補作の中に見つけたのです。
「候補にあるから受賞も本当らしい」とへたりこみかけ、どうにかお金払って書店出てから、唯一投稿していると打ち明けていた友人の元へ浮き足だって一直線。それも仕事中の職場です、他人の(笑)。失礼しました。
さらに内緒にしていた家族にどういおうかまた悩み……。

その翌日には再びT編集長さまから電話をいただき、「担当者が決まりました。替わります」
「初めまして、担当させていただきます、K美と申しますv」
初めて聴いた担当さまの声はとってもすてきなソプラノで、女性でよかった、と思いました。

それから十日後、初めて編集部に伺って、担当K美さまにお会いしたとき、まず
「イラストはどんなかんじが希望ですか?」と尋ねられ、
「着物を描くのが上手で、ラブシーンとアクションシーンが両方こなせて、男子がかっこよくて、おじさんも描ける(笑)繊細なタッチの少女漫画系の方」と条件をずいぶん挙げてしまいました。
まだ見ぬイラストレータの方にお渡しするため、私は時代考証資料のファイルをつくり、お手紙と名刺を添えて、K美さまに預けました。

そして一ヶ月後。
「いかがです?」と、増田恵先生が描いた鳴や颯音のラフ(伍之帖巻末の設定画集参照)を見せていただいた時の衝撃。
もう、ど真ん中ストレートの剛速球くらって、バックネットまでふっとばされた気分でした。
「これです! この方でお願いしますっ、絶対ですっ!!」
大声出してから急に不安になり、 「こんなすばらしい絵を描いてもらっちゃって、本当にいいんでしょーかぁ(震)」。
一週間くらい、私の出した条件に合う絵を描かれる方を、K美さまがインターネットでずっと捜してくださったと後で聞きました。うれしかったです。

当時の増田先生はまだアマチュアの学生さんで、ご自分のサイトにイラストを載せたり、投稿を少しされているほかは、同人誌もなさっていない、新人さんでした。
私たちのケースは、「新人コンビが同時デビュー」となったのです。フレッシュ作戦ですね。
新人賞の方には、人気のあるイラストレータさんと組ませ、話題を作るという作戦もあります。

なお、ファンタジア大賞&ヤングミステリー大賞の合同受賞式の時は、着てゆく衣装に悩み、自前の衣装の中で一番高いもの=着物(!)でゆきました。
成人式以来(笑)。
……浮きました……。
でも懲りずに、以来富士見書房の忘年パーティーには、着物で行っています。

ちなみに、「コウヤの伝説」のゆづか正成先生は、やはり希望条件を編集担当のY山女史さまに尋ねられたので(草稿が書けた段階)、「RPGと日本史が好きで、元気な少年漫画タッチの方」とお願いしました。
冒険ファンタジー、日本史、人気某少年漫画、という条件でインターネット検索したY山さま、打ち合わせで「この方を第1候補にしたいのですが」とゆづか先生のサイトのプリントアウトを渡してくださいました。
「あれ? なんだか記憶に引っかかる……」そう、その当時ちょうど、富士見書房の公式サイトの「ドラゴンエイジ」コンテンツにて紹介されていたのでした。
「……もしかして富士見書房関係者、ですよね?」と時海。「偶然ですが、そうみたいですね」とY山さま。「なら、決まりです」と時海。(忘年パーティーで会えるからです・笑)
あとでうかがったら、ゆづか先生も同じような理由で引き受けてくださったとかで、とてもうれしかったですね。

これからも、多くの編集担当の方やイラストレータさんとの出逢いがあるでしょう。ご迷惑かけないように、がんばりたいと思っています。……なるべく……_| ̄|○

お世話になった関係者の皆さま、そして読んで応援してくださったおおぜいの皆さま、時海を育ててくださり、本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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