風の鳴る音
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制作秘話 2

《其の弐》

広島県の瀬戸内海にある大三島の大山祗神社が所蔵する「女性用の鎧」という写真を見たのが、鳴を思いついた初めでした。
鎧(銅丸)の持ち主は「鶴姫」というお姫さまで、実際に十六歳の時着用したらしいという説明書きが写真にありました。
鶴姫は美人で、長い黒髪が自慢で、陣頭指揮を執ったり、敵の暗殺をしたり、武芸の天才だったといわれます。
そして十八歳の時に一族が戦に敗れ、戦死した恋人の後を追いって船で瀬戸内海へこぎ出し、帰ってこなかったそうです。
私は平家物語の巴御前が好きでしたから、鶴姫の話には感動しました。
戦う美しいお姫さまが書きたくなったのです。

ところで、鳴は小がらです。時海的には身長四尺六寸(140cm足らず)のつもりです。ちなみに当時の女性の平均身長は140cm台後半です。
体型のイメージとしては、女子の体操選手なのですけれど。
「力女(りきにょ)」伝説というのが、日本各地にあります。
小柄で美人で性格も良い女性が、実はすごい力持ちで、暴れる者を取り押さえてしまう、というタイプの話です。
巴御前もその系列にある話ではないかという説があります。
だから、鳴は強くても小がらで優しい女の子なのです。

一方颯音は大男です。身長が六尺二寸(約188cm)あります。
当時の男性の平均身長は155cm位ですから、かなり「でかい」感じです。
彼には異形というのを少し意識しています。
昔話の主人公はまずほとんど確実に、末っ子です。
でなければ一人っ子。 世界各国、共通です。
末っ子には特別な力や運命が生まれつき授けられるイメージがあったようです。
だから主人公の彼には、どうしても末っ子に生まれてほしかったのでした。

この物語には、そんな昔話や伝説のパターンをこっそり意識した箇所が他にもありますので、追々お話ししたいと思います。
まさか出版されるとは思わずに書いた話でしたから、本になることが決まって、ちょっとした問題が一つ発生しました。
鳴と颯音の身長差が50cm近いので、二人を一枚の絵にするとバランスが……。
けっきょく、絵は絵できれいに収まるように描いて頂いたのが、壱之帖のカバーイラスト(表紙の絵)なのです。
増田さま、苦労かけてしまい、本当にごめんなさい(大汗)。

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