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《その11》
「どーも」2巻の舞台は穂(みのり)神社。
どんな場所か、リョウに教えてもらいましょう。 嶺河(りょうが)くん、よろしくお願いします。
――おれ? いいよ。うちのことなら、まかせとけって。
うちの神社はじーちゃんが宮司(ぐうじ)、父ちゃんが禰宜(ねぎ)で、神主はそのふたり。 ほかに巫女(みこ)さんが三人で、母ちゃんが事務を手伝ってるんだ。 お正月はアルバイトの巫女さんもいるよ。
上の兄ちゃん、太洋(たいよう)っていうんだけど、この春から神主になる学科のある大学へ通ってるよ。 下の兄ちゃん、峻地(しゅんじ)は高校一年、神主には興味がないみたいで、高校入ったら部活がいそがしいとかって、神主修業もさぼってる。
おれは、ぜったい、うちの神主になりたいんだけどね。
そうそう、これは先祖代々縣(あがた)家の男子独特の習わしみたいなんだけど、名前がふたつあるんだ。 ふだん使う諱(いみな)と、神様に対して使ったり神主として正式に名乗るときに使う真名(まな)。
むかしはかんたんに名前が変えられたけど、今は市役所に戸籍(こせき)があってむりだよな。 変えられないことはないんだけど、じーちゃん(紘礎・ひろもとは真名だよ)のとき苦労したとかで、父ちゃんやおじさんからは戸籍の名前を音読したのが諱で、訓読みが真名なんだ。 戸籍の漢字にはふりがながないから、どっちもOK、ちなみに学校で名前を呼ばれたりするときの「住民票の読みがな」は諱になってる。
ホントはめったに真名を教えちゃだめなんだけど、特別に教えるとね。 太洋兄ちゃんは「まさひろ」、峻地兄ちゃんは「たかみち」、おれ嶺河は「みねゆき」っていうんだ。
あれ、話がずれたかな、えっと、穂神社のことだよな。
うちの神社ができたのは平安時代らしいけど、境内には千五百年くらい前の古墳(こふん)もあるからもっと前から何かあったんだと思うって、じーちゃんがいってた。 縣家は鎌倉時代くらいから、代々神主だっていうけど、実はもっと古いかもね。
うちの神さまは女神さまなんだ。 大気津比売命(おおげつひめのみこと)、食べものの神さまだぞ。 農業とか商売繁盛の神さまでもあるけどね。
それから、おれがいいたいのは、神社におまいりするときのポイントだな。
まず、鳥居の下と参道のどまん中は、神さまの通り道だから、歩かない。 おまいりの前に、鳥居の横に手水舎(てみずや)があるから、ひしゃくで水をくんで、手をすすいで、口もすすぐ。
おさい銭はすこしでもだいじょうぶだけど、よくばってお願いをしない。 神さまはたくさんの人のお願いをきいてるから、その中へうずもれないできいてもらいやすいよう、一つにしぼるのがいいと、おれは思うぞ。
おさい銭を箱へ入れたら、二回頭を下げ、二回ぱんぱんっと手をたたいて、お願いをして、もう一回頭を下げる。 いきなり後ろをむかないで、ほかの人にぶつからないよう気をつけて、横へずれてから、後ろをむくほうがいいよ。
神さまのいる建物の前を横切るときは、ま正面の三歩だけでいいから、頭を低くして、「失礼します」って姿勢をするんだ。
これは多くの神社でも同じだから、みんなの近くの神社へ行くときも、やってみてほしいな。
それと、いらなくなったお守りは、捨てないで神社へかえすといいよ。 よそのお守りでもひきとってもらえるか、近くの神社できいてみてね。 古いのをいつまでももってるより、お正月には新しくしたほうが、ご利益があるってじーちゃんがいってたっけ。
えっと、こんなんでいい?
はい、嶺河くん、ありがとうございました。
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